長上苑 ケアマネジャー 冨永京子
先日の敬老会では事務所と訪問介護とが協力して『大紙芝居』を披露しました。その発表までの過程をお伝えします。
敬老会担当4名が決定し、そろそろ出し物を決めなければ……という7月のある日。移動図書館が毎月持ってきてくれる紙芝居の中に、見慣れない絵がありました。時代劇を思わせるその絵は、いかにも高齢者の方々が好みそうだと思い、「こんなのどう?」と事務所の皆に見せてみました。タイトルは『瞼の母』。少しお姉さんの職員に聞くと、お年寄りには馴染みのある話できっと喜ばれるだろうと教えてくれました。
でも、紙芝居を多くの方に見ていただくには小さいように感じました。
すると1人が席を立ち、すぐに拡大コピーをして、それをつなぎ合わせて見せてくれ、あっという間に14枚の大紙芝居の原紙が出来上がりました。
あとは配役です。主役の忠太郎さんとおはまさんは台詞が多く、しかも時代劇風の言葉遣いがとても難しいため誰にお願いしようかと悩んでいたら、おはま役に「私やりますよ」とベテラン職員の1人が立候補してくれ、忠太郎役も唯一の若い男性職員が快く引き受けてくれました。「何でもやりますよ」と言ってくれる職員たちのおかげで配役は次々と決まり、それぞれがセリフを練習してくることになりました。
その後、担当者4名が紙芝居を製作していると飛び入りで手伝ってくれる職員もいて、大紙芝居はほどなく完成。
そして本番の数日前。全員が集まって、初めてのリハーサルを行いました。
まず司会役は、YouTubeで自ら聞き取ってきた口上を見事に披露。それぞれの役もかなりの個人練習をしてきたと思われ、完璧でした。お話の前後に打つたった2回の拍子木(偽物ですが)の音を、本物に近づけるよう練習をしてきてくれた職員もいます。
それから、「力仕事は任せてください」と引き受けてくれた、大きな紙芝居を持つ係の2人と紙芝居をタイミング良く抜く係の息もぴったりで、お話が終わった後は、自然と拍手が湧きました。もちろん、リハーサルはこの1回で済みました。
そして当日。紙芝居を抜く係の職員は「今日は黒子に徹します」と、なんと全身黒ずくめの衣装を用意して着てくれました。新型コロナ対策のため3か所での披露となり、緊張感の中でのお役目は皆大変だったと思いますが、3回が3回とも自画自賛したいほど素晴らしい出来でした。
たった1日のその一時のために、ひとりひとりが本気で取り組み、その本気が伝わっていった結果でした。
こんなに前向きで、ユニークで、才能に溢れ、行動力があって、コツコツ陰で頑張れ、サービス精神旺盛で、思いやりがあり、カッコよくて楽しい仲間達と仕事をさせてもらえている自分は幸せ者だと改めて思います。
今回どれくらい利用者様に喜んでいただけたのか、それはわかりません。しかし、私たちは『楽しんでできた』。そのことが何より大切なことだったと思います。何故なら私たちが楽しんでいなければ、利用者様が楽しいと感じるわけがない、そう思うからです。
私は本当に楽しかったです。だから、チームの皆さんに心から感謝です。